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コンサル業界の栄枯盛衰

2013年10月25日

よく見ると昨年1年間、あまりまともな記事を書いていないことに気付きました。最近感じる、コンサル業界の栄枯盛衰について書いてみたいと思います。
皆さん、こんばんは。作者の高田です。 ご存知の就職&転職氷河期の時代。色々と大変な思いをされている方も多いのではないでしょうか。転職関連企業や、新人研修会社などは相当苦労しているのでは、と思う今日この頃です。 コンサルファームでも、人減らしが明確化していますね。どことは書きませんが、大手ファームでも100名近い人員削減が行われており、行き場を失った「元コンサル」があっちこっちを彷徨っている・・・ような状態のようです。もっとも、投資銀行やPE関連は更に深刻なようで、業界そのものが崩壊しており同業内での行き先が見つからず、また経験が活かせる事業会社も殆ど無いことから、転職は相当困難を極めるようです。転職会社の知人の話でも「出て行きたい人ばかりで、受け入れる企業がない」。まさに株で例えるならばストップ安状況、といった感じでしょうか。コンサルファームも、経験者がゴロゴロ転職活動をしていますので、未経験者を取る必要が薄く、他業界からコンサルへの転職の「敷居」は上がっているようです。 うーん、この状況は、何となく想像がついたような、つかなかったような。 --- 昔コンサルにいた時に「学生に人気が出た業種は、いずれ廃れる」という話を聞いたことがあります。亡き祖父に聞いた話で本当かどうかわかりませんが、戦前まで遡ると日本の輸出を支えていた「繊維業界」は人気業種だったらしい。「鉄は国家なり」の時代は、鉄鋼業。半導体の時代は総合電機。バブル期は言わずとしれた金融機関。それぞれ、時代に応じて「就職人気業種」というものがあったようで、その業種に優秀な人がたくさん集まる、という現象が起きるようです。 僕がコンサルにいた2000年頃は、ちょうどバブル期に人気業種の銀行に入った優秀な人たちが、軒並み転職をする時代だったようで、履歴書を送ってくる人の中で金融出身者が多かった。最近では皮肉なことに、当社に履歴書を送ってくる人の中には、2005~2007年頃の「コンサル/外銀バブル」の時に、コンサル/外銀に就職をしている人が時々います。 「学生に人気が出た業種が廃れる」というのは、直接の因果関係ではないというのは皆さんお察しの通りだと思います。業界が好調だと採用を増やす。待遇も良くなる。メディアでも目立つ。だから学生に人気が出る。でも好調は長続きしない・・・。そういうことなんでしょう。 僕がコンサルに入った時は、まだそこまでブームではありませんでした。ただ辞める頃には明らかにブームになっていて、転職でも就職でも、猫も杓子も「コンサルに行きたい」という感じ。「子供を働かせたい企業ランキング」の8位ぐらいに、なぜかマッキンゼーが入ったりしていて、「コンサルも有名になったもんだなぁ」としみじみ、思ったこともあります。 その頃に「いつかは廃れるんだろうな」と思いましたが、最近はこのサイトの管理人の僕が言うのも何ですが、コンサルは本当に人気が凋落していて驚きます。 まぁ時代に流されすぎる学生もどうかと思いますが、昨今は話を聞いていると、1にも2にも安定色の強いインフラ系が来る。そして復活を遂げた総合商社。あとは有名所の企業が幾つか来て・・・という感じで、コンサルや投資銀行は全然出てきませんね。 基本的に僕はコンサル業界で育った人間ですから、業界はこれからも発展してもらいたいなぁと心から願ってやみません。こういう時代にこそ「でも俺は敢えてコンサルだ!!!」というぐらい、尖った人間が入社するようになれば、またいい業界になるんじゃないかと、陰ながら考えている今日この頃です。 --- ただ、今の状況を見ていて色々と考えさせられることがあります。 それは、コンサルのコモディティ化。 これだけ「元コンサル」があちこちに転職する時代になってくると、もはやコンサルティング・メソドロジーの希少性というものは無くなってきます。それこそ80年代などは「欧米ではこうだ!」と情報を紹介するだけで、90年代は「これが最新の経営手法だ!」と方法論を紹介するだけで、「おー」とお客様が納得したらしいですが、この情報化社会ですから情報でvalueを発揮するのは相当困難。 じゃあ「実際に情報使って、どう考えて結論を出すのか」「どうやって人を巻き込み、動かし、組織を変えていくのか」といったノウハウについても、これだけ人が流通すれば、「あー、社内に元コンサルの××君がいるから、彼にやってもらおう」で済みます。また自分のことを言うようで何ですが、コンサルの方法論を体系化して売る企業もうちに限らず色々出てきてまして、ノウハウ・方法論系でvalueを発揮するのも相当困難。 顧客から情報をもらい、ネットや調査会社を使って調査をして、エクセルで分析をし、パワポでわかりやすく、見やすく、資料をまとめる・・・というレベルなら、誰でも出来る時代ですからね(苦笑)。 ちなみに余談ですが、給料も昔に比べると相当下がってきているようです。プロジェクトの単価が、そもそも取れない。不況だからというのもありますが、やっぱりお客様側も使い慣れてきますから「ここは社内でやる」「ここは外部にお願い」となってきます。特に社内に元コンサルが何人もいるご時世ですから、尚更です。単価が取れないと給料は当然低くなりますよね。昔はマネジャーといえば最低1500万、コンサルタントといえば最低1200万、という感じでしたが、今は300万ぐらい下がっている印象でしょうか(違っていたらすみません)。グローバルでプロモーションを凍結しているようなファームも幾つかあるようで、「名刺の肩書きが上がり、仕事は増えるが給料は変わらない」という例もあるようです。 ではコンサル不要論か?というと、そうではないと思います。「外部の第三者である」ということは変わらぬvalueです。また「頭脳を貸す」というのも変わらぬvalue。このあたりをしっかりと意識しないと、今後のコンサル業は成り立たないのかなぁと思ったりしています。スキルや知識で戦う時代ではなく、「コンサルタントという生き方」を貫き、見せつけ、お客様の共感を得ていくような時代なのかなと思ったり。 --- 今までも僕はずっと、学生さん相手の勉強会で「Whyコンサル?」ということをしっかり考えて下さいね、と話をしてきました。これからコンサルになる人、なりたい人は、もっとそこは真剣に考えないといけないかもしれません。 おっと、何かタイトルと書いていることがずれてきましたね。 しかも終わり方がえらく一般論になってます。 が、まぁいいか・・・ 今日はこの辺りで。